2022年7月14日開催、第23回柔道整復療養費検討専門委員会の解説

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2022-08-02

2022年7月14日(木)に「第23回柔道整復療養費検討専門委員会」が開催されました。今回も最新情報についてお伝えしていきます。

本委員会は今回もこれまで同様、新型コロナウイルス感染拡大防止への配慮から、オンライン会議形式での開催となっています。
座長の遠藤久夫氏をはじめ「有識者」、「保険者等の意見を反映する者」、「施術者の意見を反映する者」の3者と、厚生労働省(事務局)側で行われました。
それぞれ議論された内容については下記の2題です。

①公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組み、オンライン請求の導入についてのこれまでの議論及び今後の議論の進め方(案)
②オンライン請求の導入までの間の「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」について


①公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組み、オンライン請求の導入についてのこれまでの議論及び今後の議論の進め方(案)

療養費を施術管理者に確実に支払うため、公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みとともに、オンライン請求の導入について、2021年8月6日以降、5回にわたり議論がされてきています。
今回はこれまでの議論及び今後の議論の進め方を整理するものとして開催されています。

まず、過去の専門委員会で厚労省が示した2026年度からオンライン請求をスタートする工程表(案)については、保険者側、施術者側ともに、2026年度の導入は難しいという意見で一致しています。
その一方、社会全体や医療分野のDXが進められる中で、様々な理由から柔道整復療養費を公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みとし、オンライン請求を導入することは重要である、と認識されています。

このため2022年度において、施術所のレセコン導入状況等や国保連合会の業務実態等を把握し、オンライン請求における審査支払いの標準的な業務フロー・実務的課題等について実務者等で検討を行い、それらの検討状況等を踏まえ、引き続き専門委員会において公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組み、オンライン請求の導入について検討を進めることとされています。

上記のような課題・問題を洗い出そうとすると、専門委員会の場で全ての内容を検討していくのは非常に困難だと思われます。
今後は別途ワーキンググループや作業部会が設置され、そちらで進められていくことになるでしょう。
いずれにせよ当初から考えられていた通り、今後4~5年スパンでオンライン請求に移行されることはないと思われます。


②オンライン請求の導入までの間の「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」について

現状として、復委任団体の中に悪質な団体の存在があることが認識されており、実際に本来、施術管理者に支払われるべき療養費を、団体の運営者が私的流用して破産し、療養費が施術管理者に支払われないといった事例がありました。

➀の通り、オンライン請求の実現には一定の時間がかかると考えられることから、それまでの間の「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」についても検討を行うべき、との意見があり、議論が進められているものです。

現状の課題としては、下記のようなものが挙げられています。
請求ルートが多数かつ複雑になっているため、施術管理者の中には、当該請求事務を請求代行業者に行わせているケースがある。
請求代行業者による不正事例により、療養費が施術管理者に支払われないことがある。
施術管理者は、受領委任規程に基づき、地方厚生(支)局長と都道府県知事の指導・監査等に応じなければならない。
 一方、請求代行業者は受領委任規程の当事者ではないため、地方厚生(支)局長などによる指導・監査等のチェック機能が働かない。

これらを踏まえて下記のような対応策が検討されています。
(1)施術管理者が外部委託できない業務を明確化
(2)施術管理者が請求代行を委託する団体を厚労省に事前登録した団体に限定

これらの内容については現在も議論が進んでいるところですが、悪質な団体の中には、施術管理者が知らないまま、団体により返戻申請書の金額欄を増やして請求し、施術管理者には元々記載のあった金額のみ支払っている、などという事例もあったとか…これがもし事実であればとんでもないことですね。

これまでもお伝えしてきた通り、そもそも復委任自体は何十年も前から継続して行われていることであり、これらの問題は一部の悪質な団体運営者の資質の問題ですが、今回こういった問題を先延ばしにせずに議論がスタートしたことは非常に喜ばしいことであると考えます。

アトラ請求サービスでは、療養費支給申請書(レセプト)の作成や施術録の記載・管理は会員の先生方にお願いしています。
保険者から申請書の返戻があった場合の修正についても同様です。
その際に出来る限り会員の先生方の事務負担が抑えられるよう、時短につながるシステム「A-COMS」の提供を行わせていただいております。

また、会員の皆様の療養費は預り金として別管理のうえ、上場企業として監査法人による外部審査を経て適時適切に開示を行っており、「療養費を会員の皆様に確実に支払うための仕組み」はすでに構築できておりますのでどうぞご安心ください。

情報を制する者は経営を制する、正しい情報を掴んで施術所の運営に活かしていきましょう。