インボイス制度が始まると、接骨院・鍼灸院によってはインボイス(適格請求書)を発行するために準備が必要な場合があります。また、患者や仕入れ先業者とのやり取りにも変化が起きるかもしれません。今回は、インボイス制度実施後に起こりうる接骨院・鍼灸院への影響について解説します。
〇接骨院が「免税事業者」の場合
患者間との取引には、保険適用施術・自費施術どちらであっても、今まで通りの取引で問題ありません(保険適用施術はもともと非課税)。ただし、患者さまが課税事業者だった場合、インボイスの発行を求められる可能性があります。
また、物販商品や鍼などの材料費等の仕入れ先が課税事業者の場合は、仕入れ先からインボイスが発行される可能性があります。
〇接骨院が「課税事業者」の場合
患者間との取引は、今まで通りの取引で問題ありませんが、課税事業者の患者さまからインボイスの発行を求められたら、必ず発行しなければなりません。
仕入に関しては、材料費等の仕入れ先から適格請求書を発行してもらわなければ仕入税額控除ができなくなります。今までなら、売上げの消費税額と仕入れの消費税額の差額を納付すれば良かったのですが、インボイス制度実施後は、免税事業者との取引またはインボイス以外の請求書では、仕入税額控除が行えなくなります。
適格請求書発行事業者になるには
インボイスは、「適格請求書発行事業者」になることで発行が可能となります。
適格請求書発行事業者とは、適格請求書の発行を認められた課税事業者のことです。つまり、免税事業者であれば、まず課税事業者になる必要があります。
登録手続きは申請書を管轄の税務署に提出し、審査を受けるという流れです。審査に通過して手続きが完了してから、通知と登録番号が送られてきます。インボイス制度が開始する令和5年10月1日から登録を受けるためには、令和5年9月30日までに申請しましょう。
〇現行の請求書を「適格請求書」に変更する。
適格請求書は従来の区分記載請求書から以下の事項が追加されます。様式は決まっていません。必要な事項が記載されていれば、手書きであっても適格請求書に該当します。
・適格請求書発行事業者の登録番号
・適用税率
・税率ごとに区分した消費税額等
適格請求書発行事業者ではない事業者が、適格請求書と誤解される可能性がある請求書・書類を交付することは禁止されています。違反した場合は罰則も設けられていますので、注意しましょう。
※詳細は、国税庁または政府広報オンラインをご確認いただくか、税理士や会計士等にご相談ください。