スキャナ保存をする際に気を付けるポイントは?〈接骨院のための電子帳簿保存法解説⑤〉

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2023-10-31

「スキャナ保存」とは、紙で作成・受領した帳簿書類等を電子化して保存する際の取扱いについて定めたものです。スキャナ保存の保存要件を満たして保存していれば、原本を破棄しても問題ありません。しかし、保存要件である「真実性の確保」と「可視性の確保」以外にも気を付けておくべきポイントがあります。

〇書類の区分
国税関係書類は「決算関係書類」と「取引関係書類」に分かれますが、「決算関係書類」はスキャナ保存の対象になりません。さらに、資金や物の流れに直結するかどうかで「重要書類」と「一般書類」に分類されます。

重要書類・・・資金や物の流れに直結・連動する書類(契約書、納品書、請求書、領収書等)
一般書類・・・資金や物の流れに直結・連動しない書類(見積書、注文書、検収書等)

〇入力期間の制限
一般書類の場合は適時入力となりますが、重要書類の場合、以下のいずれかの方式で保存する必要があります。
① 書類を作成・受領してから、概ね7営業日以内にスキャナ保存する(早期入力方式)
② 各企業の業務処理サイクルの期間(最長2か⽉以内)を経過した後、概ね7営業日以内にスキャナ保存する(業務処理サイクル方式)
※ 業務処理サイクル方式は、書類を作成・受領してからスキャナ保存するまでの事務処理規程を定めている場合のみ採用可

〇画像の解像度
重要書類をスキャナ保存するときには、解像度が200dpi以上、赤・緑・青の階調が256階調以上であることが要件とされています。また、ディスプレイは14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識ができるものとされています。保存の際に使用するスキャナやスマホが要件を満たすか確認しておく必要があります。
一般書類は、白黒(グレースケール)での保存でも問題ありません。
なお、要件を満たしているのであれば、スキャナー以外にスマートフォンやデジタルカメラでデータ化して保存することも可能です。

〇スキャナ保存のメリット
上記の保存要件を見て「面倒そう・・・」と思われる方もおられるでしょうが、スキャナ保存を導入することで得られるメリットもあります。

請求書や領収書などの書類は、一般的に法人で7年・個人で5年間保存することが義務付けられています。紙で保存する場合、保管スペースや保管コストが必要ですが、スキャンしてデータ保存すれば、紙の書類を廃棄することが可能なため、保管スペースが不要になります。

検索機能も確保ができれば、書類を検索しやすくなり、社員間でデータ共有も簡単になるでしょう。ファイリングやタグ付けの作業は不要になるので、業務効率化にもつながります。

適用要件【基本的事項】|国税庁
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07scan/02.htm