労働条件の“口約束”はOK?【接骨院の人事労務対策①】

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2024-08-28

厳しい採用活動を終えて、新しい人材を雇用できて安心だ・・・とお思いの先生方、安心するのはまだ早いかもしれません。入社~入社後3ヶ月までの時期は、接骨院と新入スタッフとの関係がまだ安定しておらず、思いもよらないトラブルが発生しやすい時期なのです。

〇“口約束”で採用していませんか?
接骨院業界は、労働条件が曖昧だったり、口約束で雇用が決まってしまったり、ということが未だに多い業界といえます。確かに、雇用契約そのものは口頭でも成立します。しかし、スタッフ側からすれば、「院長の気分次第ですべての労働条件が決まっていくのか?」「自分の思い描いていた環境と違い、大きなギャップを感じる」と不安に感じ、トラブルの原因にもなり得ます。戦力と見込んでいたスタッフが、もし突発的に退職や訴えをしてきた場合「言った言わない」の問題が発生し、今までの採用コストや労力が水泡に帰すことも…。入社が決まった段階で、自院の考え方や労働条件を理解してもらうことで、もったいない退職を防ぐことにつながります。

〇「労働条件通知書の発行」は義務
雇用契約の場合、「労働条件通知書」を書面で交付する義務があります(労働基準法第15条)。労働条件通知書とは、労働基準法で賃金や労働時間などの労働条件を明示する書面のことです。労働条件通知書と雇用契約書をひとまとめにした「労働条件通知書兼雇用契約書」でも構いません。

労働条件通知書の書き方に決まりはありませんが、以下の労働条件については必ず記載する必要があります(絶対明示事項)。

・労働契約の期間
・労働契約更新の基準、有無、
・就業場所及び従事する業務の内容
・労働時間、残業、休憩時間、休日、休暇に関する事項
・賃金の支給額、計算方法、締め日、支払日、支払い方法ならびに昇給に関する事項
・退職、及び解雇の事由と手続き方法

2019年4月より、労働者が希望した場合は労働条件の明示をFAX・メール・SNS等でもできるようになりました(書面出⼒できるものに限る)。
また、2024年4月1日から、企業が従業員に対して行うべき労働条件明示のルールが変わり、次の4つの項目が新たに追加されます。

・就業場所・業務の変更の範囲
・更新上限の有無と内容(有期契約労働者対象)
・無期転換申込機会(有期契約労働者対象)
・無期転換後の労働条件(有期契約労働者対象)

〇接骨院での定めに応じて労働条件を明示する
社内(院内)で何かしらの制度を設けている場合(賞与、表彰、休職に関する事項等)、定めに応じて明示が求められます(相対的明示事項)。
また、労働条件以外にも「試用期間」「副業」「競業」「情報守秘」「損害賠償」等、職場内の規律事項については、就業規則へ明記する、または入社前に誓約書を交わしておくと、無用のトラブルを防ぐことができるでしょう。


参照:入り口で揉めないための採用ルール|アトラアカデミー