日々頑張って働いてくれているスタッフであっても、さまざまな事情で退職される人はいます。円満退職となるのが一番良いですが、中には在籍中に溜まった不満が表面化して、思いもよらないトラブルが発生することがあります。退職トラブルが起きないよう、ルールをあらかじめ定めておくことが肝心です。
〇退職パターン
主な退職として、従業員の一身上の都合で退職する「自己都合退職」と、会社側の都合により従業員を退職させる「会社都合退職」があります。会社都合退職の場合、失業手当の受給日数や開始時期にメリットが生じるため、「会社のせいで退職を余儀なくされたのだから、会社都合にしてほしい」と言い出す人も、中にはいます。このようなトラブルを防ぐために、退職者の意思で作成した退職届を提出してもらう必要があります。
〇トラブル防止のために退職届の提出を促す
退職日が決定したら、退職者に書面で退職届を提出してもらいます。退職届は自己都合退職の証明になるため、失業保険関係のトラブル防止につながります。
さらに、「退職時誓約書」の提出を求めることも重要です。「業務の引き継ぎ」や「機密保持」、「競業避止」など、退職時の約束事をすべて列挙してあれば、退職者の心理的な歯止めとして効果が期待できます。
また、ゆとりを持って業務の引き継ぎや後任の採用等を行うには、どうしても数ヶ月程度の期間が必要になります。急な退職が起きないよう「退職する場合は○ヶ月前までに申し出ること」と就業規則に規定しておきましょう(採用時の「雇用契約書」にも明記しておくこともおすすめします)。
〇「退職面談」を行う
なお、退職することが確定したら「退職面談」をするのも有効です。退職の手続きを終えた後に「退職面談」を行うことで、今後の業務や職場の改善に役立てることができます。
①退職理由に関する質問
特に退職の理由が企業側にある場合には、今後の改善していく必要があります。
②会社の評価に関する質問(職場環境・人間関係・待遇面・スキルアップ支援など)
会社の良い点・悪い点について評価してもらいます。
③次の仕事に関する質問(次の仕事で求めていること・転職先を選んだ決め手)
今の自院で改善が必要な点、今後取り組む必要がある点等を明らかにできます。
④退職を考え直してもらう質問(配置転換や待遇の見直しなど)
退職者の要望に応えられるのであれば、要望に沿うことで退職を考え直してもらえる可能性があります。
例:育児との両立が難しい → 時短勤務で仕事を続けることはできないか
退職者の本音を引き出すため、面談の担当者を退職者にとって信頼できる人物にしましょう。必ずしも、院長・人事担当者にこだわる必要はありません。退職者が良好な関係を築いている先輩や上司がいる場合には、面談担当を依頼してみてください。
スタッフとの退職トラブルは、会社側・院側が完全に防ぐことは難しいです。しかし、退職ルールを設けたり、スタッフ間の人間関係を良好に保ったり等の対策を行うことで、トラブルに巻き込まれにくくなるはずです。とはいえ、一番良いのは当然『退職者を増やさないこと』です。退職トラブルを防ぐ取り組みは、現スタッフの満足度向上に繋がるものでもあるので、ぜひ取り組むようにしてください。
参照:トラブル防止に絶対不可欠 退職ルールの定め方|アトラアカデミー