電子帳簿保存法は、多くの帳簿・書類を対象としています。加え、書類の種類・受領方法によっては保存方法や保存期間が異なります。電子帳簿保存法の対象書類や保存期間について紹介します。
電子帳簿等保存の対象となる書類は、以下の書類になります。
・国税関係の帳簿:仕訳帳、総勘定元帳、売掛帳、買掛帳、現金出納帳、固定資産台帳など
・決算関係書類:貸借対照表、損益計算書、棚卸表など
・取引関係書類:注文書、見積書、契約書、領収書など
上記の書類を電子的に作成した場合、電子データまたは紙で保存することができます。
しかし、取引関係書類は、取引先に電子的に交付した場合、電子取引に該当するため、電子保存が必要です(紙に印刷しての保存は不可)。
電子的に作成した見積書や請求書などの取引関係書類は電子帳簿等保存の対象ですが、これらの書類を“電子データとして”取引先に送信した場合、電子取引に該当するため、必ず電子データで保存しなければなりません。
簡潔に説明すると、電子データを用いておこなわれるすべての取引が「電子取引」に該当します。例えば請求書や領収書など、事業で使用される書類は、電子データを用いて授受した場合は「電子取引」の対象です。
〇スキャナ保存の対象書類
スキャナ保存の対象書類は、取引先から紙で受け取った取引関係書類です。実店舗で買い物をしたときに受け取ったレシートなども該当します。電子データまたは紙で保存することができます。
・取引先から紙で受領した書類:契約書・納品書・請求書・領収書・見積書・注文書・検収書など
電子帳簿等保存:https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_02.pdf
スキャナ保存: https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_03.pdf
電子取引: https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/pdf/0023006-085_01.pdf
(「電子帳簿等保存制度特設サイト」より)
〇保存期間
電子帳簿保存法における文書の保存期間は、法人の場合は基本的に7年、欠損金の繰越控除を受ける場合は10年間の保存が必要になります。
個人事業主の場合、帳簿・書類の種類によって5年~7年間の保存が必要です。また「白色申告者」なのか「青色申告者」なのかによっても書類の保存期間は異なるため、早めに確認されることをお勧めします。
電子帳簿保存法では、保存要件を満たして電子保存されていれば、スキャン保存後の原本(紙)を破棄することも認められています。以前は、原本である紙書類は定期検査を年に1回以上行われていましたが、2022年の法改正で定期検査の要件が廃止になり、原本の即時破棄が可能となりました。
紙の書類はどうしてもかさばってしまうので、保管スペースが無い・管理体制に問題がある場合は、電子保存への移行を検討していただきたいと思います。