「転帰」とは、施術における症状の経過や結果のことです。この転帰について、どれを選んだら良いか分からず、何となくのイメージで選択している方もいらっしゃるのではないでしょうか。転帰には、それぞれ定義があるため、正確に選ばなければ返戻になってしまったり、保険者からの疑義を抱かれる原因になったりするかもしれません。今回は、柔整の転帰の定義について解説します。
〈転帰の4種類〉
・治癒
→患部の症状が無くなった、これ以上の施術は必要ない・できないと判断できる場合は、これに当てはまります。
・中止
→症状は残存しているが、患者の都合により来院できなくなった・施術が不可能になった場合が、これに当てはまります。例えば、引っ越しや入院、患者さまが亡くなられた等、やむを得ない理由で来院できなくなった場合、中止とします。また、柔整施術の業務範囲外の施術に移行する場合も、中止となります。
・転医
→保険医療機関などの別施設で治療することになった場合は、これに当てはまります。
・継続(無表示)
施術がそのまま継続している場合、次月も通院が必要だと判断される場合は継続となります。
特に間違えやすいのが「治癒」と「中止」です。例えば「症状は少し残っているが、施術するほどでもなくなった」という場合、転帰で【中止】を選択してしまう方が多くいらっしゃいます。しかし、その後も継続して来院されているのであれば、治癒の確認・推測ができますので、転帰は【治癒】となります。
他の部位を継続している状態で、一部の部位だけ【中止】する場合も、注意が必要です。一部の部位だけ【患者都合により施術が不可能となった】という意味になるので、その理由を摘要欄に記入する必要があります。
転帰で気を付けなくてはいけないのは、「治癒」か「中止」によってその月の施術部位数が変わる場合がある、という点です。
例えば、同月内で2部位の施術を【中止】し、後日、別の2部位を負傷して施術した場合、月内最終の施術部位数の合計は4部位となり、追加施術した部位の後療料等に算定できないものが生まれます(月末まで部位数は変化しません)。
一方、月内で2部位の負傷が【治癒】した後、別の2部位を負傷して施術した場合、治癒した2部位分は減少します。そのため、月内最終の施術部位数の合計は2部位となり、後療料等は逓減がかかることなく4部位とも全額算定されます。
「治癒」と「中止」については、定義を理解していればレセプトでの記載ミスも減っていくはずなので、一つ一つをしっかり確認し、「転帰」による返戻を確実に減らしていきましょう。