皆さまご存じの『チョコザップ(chocoZAP)」は、RIZAPグループ株式会社が運営するコンビニジムです。2022年にサービスを開始し、2024年2月14日時点で、会員数 112.4万人(※退会者は含まず)、店舗数 1,333店 (全国44都道府県)を展開しています。
先生方の中にもご利用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、ジム経営をされている先生方にとっては競合となりますね。異例の速度で成長を続けるチョコザップについては、多くのサイトで経営戦略について考察されているので、アトラ請求サービスも簡単にですが考察してみようと思います。
〇ターゲットを「意識低い人」に限定
通常のスポーツジムの場合、ターゲットはトレーニング好きの方や健康志向が高い方です。しかし、国際ヘルス・ラケット・スポーツクラブ協会(IHRSA)の2018年の調査によると、日本のフィットネス参加率は約3%。この3%の人口をジム業界は取り合いをしている状況です。
チョコザップのターゲットは真逆で「運動していない人」、つまり残りの97%がターゲットになります。そして、その「運動していない人」がジムを利用しない理由、継続できない要素をことごとく排除しています。
・運動がキツイ → 1日たった5分でもOK
・高額な料金(一般的なジムは月額1~2万) → 月額2,980円(税別)
・着替え等の荷物 → 着替え・履き替え不要
・ジムが遠い → 出店数拡大(家や職場の近くにチョコザップがある状態を作る)
チョコザップは、あえて上級者向けのマシンを設置せず、初心者が使いやすいマシンだけ設置しています。筋トレ上級者を集客しないことで、心理的にも初心者が通いやすいようなサービス設計にしているようですね。
〇ビジネスモデルが『サブスクリプション』
チョコザップの会費は、専用アプリ内でクレジット情報を登録することで決済が行われます。つまり、ジム会員=アプリの有料会員になるということです。サブスクリプション(定額課金)に加入してもらうことで、安定した収益が見込めます。
サブスクリプションは離脱が容易という面もありますが、有料会員である限り24時間365日全店通い放題で、スポーツジムの会費としては低価格であることで解約されにくい状況を生み出しています。
また、チョコザップの施設には、セルフエステやセルフ脱毛、セルフネイル、最近ではワークスペース、セルフホワイトニング等の設置も行われています。収入面だけを見ると、有料会員でいてくれるのであればトレーニング以外の目的で利用されても問題ないのでしょう。
〇徹底した省人化
チョコザップでは、少子高齢化・人手不足を見据え、ジムを完全無人としているため、各ジムの人件費がかかりません。会員登録、入退室、予約、マシンの使い方、トレーニングのアドバイス、生活記録、食事の栄養を解析等は、全てチョコザップ専用のアプリ内で完結します。
また、来店のない会員には性別、年齢、運動履歴などの個別データを分析し、それぞれに合わせた通知を行うことで、退会率の減少に貢献しています。アプリがスタッフ替わりであり、トレーナー替わりでもあるのですね。
日本は国民皆保険制度で、すぐにでも病院を受診できる環境にあるため、予防や健康維持に対する意識が低い傾向にあります。また、日本人にとってのジム通いは、健康管理というよりダイエット等を目的とする方が多いのではないでしょうか。その場合、目標を達成したらジムを辞めてしまう傾向にあるので、長続きしません。
継続的な運動のハードルを極限まで下げ、トレーニング以外でもチョコザップに足を運んでもらう動機を作ることで、安定してLTV(顧客生涯価値)を高めていくことが出来るでしょう。