スポーツや事故で起こるかも【ジェファーソン骨折】

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2024-08-21

今年のパリオリンピック、皆さまはご覧になられましたでしょうか。先生方の中には、スポーツマンやアスリートたちへの施術経験がある、現にサポートを行っている、という方々もいらっしゃると思います。その場合、オリンピックはアスリートたちの活躍だけでなく、怪我の状態も気になってしまうかもしれませんね。スポーツでの怪我については先生方の知るところでもあるので、あえてレアなケースの外傷を取り上げてみようと思います。

滅多に現場で対応する機会は少ないかもしれませんが、今回は頚椎骨折の一つである「ジェファーソン骨折」についてお話したいと思います。

ジェファーソン骨折は、「環椎破裂骨折」という骨折の種類です。その名の通り、環椎(頚椎)が骨折して発生します。頚椎は全部で7つあり、第一頚椎(C1)は「環椎」、第二頚椎(C2)は「軸椎」と名称が付いています。環椎は輪のような形をしており、一番頭蓋側にあり頭蓋骨を支えています。この環椎の前弓・後弓がそれぞれ1カ所以上で骨折することで、輪を作る環椎が破裂するよう形での骨折となります。

日常で起こることは稀で、かなり珍しい骨折ではありますが、スポーツや交通事故などで頭部から垂直圧迫力等の大きな衝撃を受けたときに骨折することが多いと言われています。

例えば、アメフトやラグビー、相撲等での危険な接触があった、プールに飛び込んだ際に頭から落下した、自転車やバイクで転倒した時などに首に強い圧力がかかることが原因です。また、勢いよく尻もちをついた時にも発生することもあります。

ジェファーソン骨折は、首に垂直方向+伸展方向の外力が加わった時に受傷することが多いです。環椎の椎弓が外に向かって転位するので、他の骨折に比べて脊髄損傷の頻度は少ないと言われていますが、極めて危険な骨折ではあります。頚椎骨折に変わりはないので、神経症状には注意が必要です。

症状としては、当然「首の痛み」。骨折を起こしているため、首を動かすと猛烈な痛みがあり、頭を支えることができない場合もあるでしょう。ハローベスト等で保存療法を行うケースが多いですが、不安定性の高いものでは手術が適用されます。

接骨院に「頚椎骨折」で来院されるケースは少ないとは思いますが、骨折までいかなくとも骨にダメージを受けた状態で来院される、という状況はゼロではありません。ジェファーソン骨折に関しては、首に強い衝撃を受ける等、発生機序は明確ですので、首に衝撃を受けるような出来事があった、首の上部分に強い痛みを感じる、という患者さまがいらっしゃいましたら「ジェファーソン骨折」の名前を思い出していただき、医療機関への受診をおすすめしていただければと思います。