守られるべき労働基準【接骨院の人事労務対策➂】

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2024-09-11

「Q.接骨院での労働時間は?」「A.労働時間は8時間がほとんどです!」
・・・と謳っているサイトよく見かけますが、先生方の院はいかがでしょうか。一昔前は「休日出勤・サービス残業は当たり前」「レセプト作業や勉強会を夜遅くまで行う」等々よく耳にしましたが、今ではきちんと「勤務時間」と「残業」を管理し、スタッフが働きやすい環境を構築することが求められています。

〇労働時間に関する主な制度
労働基準法第32条では、勤務時間、休憩について下記のとおり定められています。
・企業側は、原則として1日8時間、1週間40時間を超えて労働させてはいけません。
・企業側は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません。

会社側は従業員に対して法定労働時間を超えた労働はさせられません。もし、法定労働時間を超えて時間外労働や休日労働を行う場合は、「36協定」(労働基準法36条に定める「時間外・休日労働に関する協定届」)が必要です。「会社」と「労働者の過半数代表者」で締結し、労働基準監督署に届ける必要があります。
もちろん、36協定を締結したからといって、限度なく労働させて良いわけではありません。締結後は、残業時間は月45時間・年360時間の上限があります。それを超える場合は、「特別条項」をつけることで時間外労働の延長が可能です。
・月45時間を超えた時間外労働が可能なのは1年で6ヶ月間のみ
・1か月の時間外労働の上限は100時間未満(休日労働含む)
・複数月の時間外・休日労働時間の平均は月80時間以内

36協定に違反した場合は、労働基準法違反になり「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されます。

〇労働基準法で定められている割増賃金について
1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させた場合、いわゆる残業となり、企業側は「割増賃金(残業代)」を払わなければいけません。
【割増賃金率】
・時間外手当・残業手当
法定労働時間を超えたとき(1日8時間・週40時間):25%以上
時間外労働時間が限度時間を超えたとき(月45時間、年360時間等):25%以上
時間外労働が月60時間を超えたとき:50%以上

・休日手当
法定休日に勤務させたとき35%以上
休日労働(割増率35%以上)+深夜労働(割増率25%以上)=60%以上
※振替休日がある場合は割増不要。
※休日労働と時間外労働に対する割増賃金は重複しない。

・深夜手当
22時から5時までの間に勤務させたとき:25%以上
=時間外労働(割増率25%以上)+深夜労働(割増率25%以上):50%以上
=月60時間を超える時間外労働(割増率50%以上)+深夜労働(割増率25%以上):75%以上

〇残業を減らすには、まず業務効率化
「残業は多いのに残業代もない…」となると、スタッフの離職原因になりかねません。離職率を減らし、安定して接骨院を経営するためにも、できるだけ残業時間を減らし、業務効率化が求められています。
・請求ソフトや自動精算機の導入
・自賠責等の書類を簡素化
・最終受付時間の短縮、早番・遅番制の導入
・勉強会は営業時間内で行う

依然として、一昔前の風潮が残っている接骨院も少なくありません。「柔道整復師、鍼灸師になりたい」と思ってくれている方々のためにも、職場環境を見直していくことが大切だと考えます。

参照:接骨院の勤務時間と残業|アトラアカデミー