「膝や腰の痛みにグルコサミン・コンドロイチン!」のウソ?ホント?

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2024-10-09

関節痛のサプリメントとして、グルコサミンとコンドロイチンは長年に渡り人気を博しています。今でもテレビCMや通販番組、ドラッグストアなどで紹介されているのを目にしますよね。先生方の患者さまの中にも、日常的に飲んでおられる方もいるのではないでしょうか。しかし、実際に効果があるのか無いのか・・・、疑わしく思っている方もいると思います。今回は、関節軟骨の構造をおさらいしながら、グルコサミンとコンドロイチンが効くのかどうか確認していこうと思います。

〇関節軟骨の構造
そもそも関節軟骨は、95%の軟骨基質(細胞外基質)と、残り5%の細胞成分(軟骨細胞)で作られています。基質の70~80%は水分で、その他はコラーゲン・プロテオグリカン・非コラーゲン性糖タンパクなどで構成されています。
プロテオグリカンというのは、プロテイン(タンパク質)とグリコサミノグリカン(ムコ多糖)が結合した「糖タンパク質」と呼ばれるものです。軟骨や皮膚に存在しており、高い保湿性や弾力性をもたらす成分です。グリコサミノグリカンとしては、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸が良く知られており、コンドロイチンは、グルコサミンなどのアミノ糖などで構成される多糖体です。
軟骨構造の柱となる成分はヒアルロン酸で、それにタンパク質が結合し、そのタンパク質にムコ多糖が結合し、水分も含め複雑に絡み合うことで柔軟性のある軟骨が形成されています。

〇軟骨組織の損傷
関節がスムーズに動くために、関節液が重要な役目を果たしています。常に軟骨表面が関節液に浸たっていることで、関節軟骨表面の磨耗を抑えているのです。また、関節運動などで、軟骨組織に衝撃や荷重がかかっても、関節軟骨が元の形に戻る際に関節液を取り込むことで、必要な水分や栄養を受けとっていると考えられています。軟骨組織内には血管も神経も通っていないため(これは、常にすり減っている関節軟骨に血管や神経があると、僅かな動きで出血や損傷が生じてしまうため、そうならないようになっているからです)、関節液が浸み込むことにより生きています。
関節液は、関節包の内側にある滑膜で作られています。血管やリンパ管から血球成分などが濾過された血漿成分に、滑膜組織で合成分泌されたムチン様成分が加わることで、血漿成分より粘性が強い液体となっています。

〇グルコサミンやコンドロイチンの効果は?
では、本題に戻りまして、グルコサミンやコンドロイチンのサプリメントは関節痛に効くのかということですが・・・実際には効果は無いと考えられます。確かに、これらの成分は軟性や弾力性を保つのに役立つものですが、「サプリメントで補給することで、軟骨の減少を防いで関節痛が改善」するのかと聞かれると、肯定することは難しいでしょう。
おそらく、経口的に摂取しても胃や腸の消化部で分解されますし、上手く血液で運ばれたとして、先述した通り、関節軟骨には血管が存在しないので関節軟骨部には到達しません。そのうえ、滑膜で血液が濾過されますので、関節液として到達することも考えにくいでしょう。もし、軟骨を再生させる効果があったとしても、関節は身体の様々なところにあるため、痛みがある部分にだけ成分が届くなんて都合の良いことは起きません。逆に、正常の関節軟骨にも何かしらの影響を与えてしまうような別の問題が起きそうな気がします。

〇痛みの原因は一つではない
関節痛の原因はさまざまであり、サプリメントだけでは解決できない場合もあります。もしかしたら、病気が隠れていたり別の部位に問題がある可能性もありますので、患者様にはネットやテレビの情報をそのまま鵜呑みにせず、医療機関や接骨院で身体の状態をチェックするよう促していただき、運動・体重管理・ライフスタイルの変化など、総合的に痛みの原因に向き合うよう、お伝えいただけければと思います。