おかげさまでアトラ請求サービスご利用会員様は年々増加しており、この度3,000会員を突破いたしました。
これも日頃よりアトラ請求サービスを支えてくださっている会員の皆様のおかげです。
この場をもちまして皆様に御礼申し上げます。
アトラ請求サービスの認知度が上がり、たくさんの会員様にご入会いただいた結果、施術事故の件数も年々増えてきて
おり、特に近年は件数が多くなってきています。
こちらを減らしていくためにも、今回はよくある施術事故ならびにその対応についてご紹介させていただきます。
まず柔道整復からお伝えしますが、柔道整復の施術事故の多くが骨折で、このうちの多くが肋骨に関する事故です。
この骨折事故には脱臼などに対する整復操作の誤りからの骨折なども含まれていますが、主な原因としては胸部圧迫、ストレッチによる肋骨骨折や肋軟骨損傷事故が大半を占めています。
骨がもろくなっている高齢者はもとより、患者が息を吸い込んだタイミングで瞬間的に押圧すると骨折する危険性が高まります。
また、事故を部位別にみると上記の肋骨を含め首、肩など上半身がその多くを占めています。
これらの部位に注意を払う事、および患者の身体状況の聞き取りをしっかり行うことで、多数の施術事故が防げます。
次に鍼灸では施術事故のうち、代表的なものとして気胸が挙げられます。
気胸を防ぐためには肩背部には斜刺を行うことや、置鍼の際に上からタオル等をかけないことが重要です。
また、鍼通電を行う際は端子を付ける場所に注意を払い、それ以上体内に刺入されないよう気を付けましょう。
気胸以外の事故は比較的軽微なものであると思われますが、火傷や症状増悪、菌感染などが挙げられます。
鍼灸の施術事故で内出血、施術後の痛み、火傷などは起こりうるものであることをしっかり説明する事で、施術事故という認識を防げるかもしれません。
特にお灸のやけどに関しては下記のような文章が損害保険会社から出ています。
【灸の施術に係る賠償保険の適用について】
患者が「灸の施術を受けて火傷をした」と訴え、賠償保険の請求があった場合でも支払い対象外になる可能性があります。
以下に、灸施術後の水ぶくれ、火傷に対する賠償保険の請求に対する保険会社の見解を記載します。
実際に合ったケースを基にしています。
事前に患者へ、灸の特性や「熱い」「ヒリヒリする」など違和感を覚えた際はすぐに申し出ていただくように十分に説明していて、かつ施術中に患者から「熱い」というような訴えがない場合、人によって違う 温感を灸師が察知して火傷を防ぐ手立てはなく、また灸の特性として温かく感じなければ効果がないという点から、保険会社は「灸師に過誤はなく、火傷の回避は困難、過失は生じない」と判断します。
施術終了後に患者から火傷を訴えられても、過失が無く避けられない不可抗力に対して施術師が法律上の賠償責任を負うことはなく、保険会社の保険料支払い要件を満たしません。
①大前提として、皮膚を熱する施術で有る事。極端な話では、火傷をさせる施術で有る事。
②熱い等の違和感を覚えた時はすぐに申し出るよう説明を行っている事。
③灸師が、患者の温感を察知するすべは無いこと等により、施術者には過失が無いことから賠償責任を負う必要は無いとの判断です。また、このケースに関して訴訟等に発展した場合、その訴訟費用に関しては保険が適用になります。
鍼灸の施術の際は事前に、想定される違和感や起こり得る状態、また違和感を覚えた際はすぐに訴え出るように、患者へ
十分に説明を行ってください。
上記にある通り、これらは施術前に患者への説明をしっかり行うことで、施術事故との認識は無くなるといってよいでしょう。こういったコミュニケーションの不足から患者クレームにつながるケースも多くみられます。
患者から訴えがあった場合はまずしっかりとお話を聞いて、その要求が何であるのか明確にしましょう。
我々の業界における施術賠償保険を取り扱う損害保険会社は非常に少なく、年々施術事故が増えてきており、外資系の保険会社などは有無を言わさず期限を切って撤退するなどの状況にあります。
医療の世界においては少なからず事故が発生するのも事実ですが、「柔道整復師やはり師・きゅう師、あんまマッサージ
指圧師」が行う施術は医療行為の一端ですから、もし事故が生じれば、それは医療の上での過誤に該当します。
つまり、医療上での責任を負わなければならない可能性があります。
それに加えて、無資格者が行う施術行為は医療行為ではないため、事故はややもすれば傷害行為に該当するおそれもあります。それほど法的な資格の有無は重要であるということを改めて認識していただきたいと思います。
施術事故は当然ながら、起こす側も起こされる側も、また損害保険会社も含めて関係者すべてにおいて損失しか生み出しません。ちょっとした意識の持ちようで防げるものがほとんどです。
各施術所において施術事故を起こさないための施術マニュアル等を作成し、実行していただきたいと願います。